STORY

星継ほしつぐ虎鉄こてつ星継ほしつぐ銀音しろねは、血の繋がらない兄妹だ。

妹の銀音はアスリート。
フィギュアスケートの選手としての実力、そして透き通るような肌と、雪よりも白い髪から、
雪の妖精フェデネージュの異名で親しまれ、その名声を地元仙台に轟かせている。

一方、兄の虎鉄は無名……どころか、一部には悪評がついて回る。
大部分は誤解だが、しかし彼の金髪が威圧的なことは、言い逃れできない事実であり、
ふたりの立ち位置はまるで逆のところにあった。
ある日、虎鉄は銀音の忘れ物を届けるため、スケートリンクに向かうのだが……。

「兄さんは妹離れをするべきです。彼女でも作ってみてはどうですか?」
「それはいい考えだ」

妹の何気ないひと言を真に受けた虎鉄は、評判のSNSアプリ『アイコトバ』を利用。
適合率88.88%の相手とマッチングに成功する。
だが、そこに待ち受けていたのは予想外の展開で……?

一方、マッチングアプリに入れ込み、これまでにない謎の行動力を見せる
虎鉄の姿に、銀音はもやもやした気持ちを募らせてゆく。

「このまま兄さんを放っておけば、
やがてこの街の平穏を脅かすかもしれません!」

そんな建前を口実に、銀音は虎鉄に提案する。

「非モテのクソザコ……恋愛ビギナーの兄さんは、
恋愛のイロハを、イの字から学びましょう」

こうして始まる恋のレッスン……?
三ヶ月という期限付きではじまる、言葉足らずのわからせ合い。

「安心してください、兄さん。銀音が責任とりますから……あっ。
責任って、そういう意味じゃないですよ」

「どういう意味だ?」
「変態は死んでください」

果たして銀音は兄を恋愛強者に導き、そして虎鉄は妹離れができるのだろうか?