あらすじ

「……将来、何をすればいいんだろう」

木戸裕介(きど ゆうすけ)は悩んでいた。

どんな進路にでも進めるように、勉強を頑張ってきた。 資金の足しにもできるように、バイトをして貯金もした。 でも、肝心の「将来は何をしたいか」が分からない。 そしてその悩みを、誰にも相談できなくて……。

ある日、そんな彼が暮らす学生寮に先生がやってきた。

「今日からここに住むことになったの。 先生と教え子だけど、仲良くしてくれるとうれしい」

突然同居することになった、年上の先生、月森美咲(つきもり みさき)。 祐介は何気なく美咲に訊いてみる。 来の目標は、どうやって見つければいいのか――と。

「見識を広めればいいの。 学生らしく、たくさん遊んで、いろいろ経験して」

遊んで、経験して――と言われても、 どうすればいいのか分からない。 祐介はこれまで、そんな気にもならなかったのだから。

「それなら……私が、協力する?」

先生と教え子が、同じ屋根の下で過ごす日々。 今までの人生では考えられなかった時間が、 毎日を少しずつ変えてゆく――